夏なのに・・・

夏が今年もやって来た


笑いすぎた向日葵

自由すぎるミニスカート

青くなりすぎた青空 


夏が今年もやって来てしまった


汗をかきすぎたアイスコーヒー

ワクワクしすぎた入道雲

泣き叫んで疲れ気味のセミ達


夏が今年もやって来て

私にいろいろ期待させる


今年こそ やって来る

今年はやって来る・・・と


今年の夏は

来てくれるだろうか・・・


待ち人 いつ きたる?

赤くて 丸くて つやつやしている

 

お日様が下りてきて 野菜になった

 

一口かじると それは


初めてキミに出会った時のような味でした


 

                   ト マ ト

かげふみ カンけり オニごっこ

子供の頃に遊んだ記憶は

 

今は ゲームに塾にそれに習い事

 

公園は草が生えすぎて 見っともない空き地に化けた

    だあれも遊んでやしないんだ

 

かげふみ カンけり オニごっこ

 

あの頃はダンゴムシが友達で 石ころが宝物にみえた

イタズラだって 大胆で 空に落書きしてみたけど

だあれもイジメやしなかった       あの頃 

  

鳴かない セミ

          ( 童話 )

あそこに病気のものがいます

病気といっても 風邪とかじゃなくて 心の病です


一番 上の高い木の先っぽに停まって さっきからちっとも鳴きません


「どうした?」案山子(かかし)がやっと

       聞いてみました

「なぜ 鳴かない?」

 

セミが答えます

「だって 僕は来年も再来年も生きたいん

 だ」     

 

 

案山子は驚きました

セミは知らないのです 短い夏の間中ぐらいしか 生きられないのを

「なぜ そんなに長く生きたいんだい?」


セミは答えます

「冬や春も見てみたいんだ」


「そう」 案山子は少し考える

「それと鳴かないのと どう関係するの?」

「体力を溜めておくのサ まわりの皆みたいに あんなに懸命に鳴いて

 いたら へたばっちまう

 それに・・・ 子供達に見つかりやすくなるだろ?捕まったらタイヘン

 だ だから・・・」


だから 鳴かないのですね


案山子は何も言えませんでした 

ーたくさん生きたいー それは誰だって同じ

いつの間にか 日没です

日没近くともなると 耳がおかしくなるくらい 虫達が盛んに鳴きます


    早く早く 進め進め もっともっと

     

       今を生きてんだ・・・


私達を忘れないで・・・ そんなふうにも聴こえるような 気がします

   

     案山子がセミに話かけてから 

     何度目かの朝のことです

 

     今日もいいお天気です

 

                                     どこからか 遅れたチョウ達が

                やって来ました

   

                あのセミに声をかけます 

「ワタシ達は明日は 向こうにあるという 向日葵の丘に行こうと

 思ってます

 だからしばらく会えません

 でもまた会いましょうね」

 

そう言って チョウ達は行ってしまいました

 

案山子は溜息をつきました

向日葵の丘は今度 お家がたくさん建つのです  今ごろは地面を

掘り起しています



今日もいいお天気です

でも今までと少し違う気がします


爽やかな空気 そしてなんといっても 子供達の声や姿がありません


新学期が始まっているのです  なんだか虫達の声も元気がありません


あのセミはどうしているのでしょう 

最近うわさも聞きません 他の樹に飛んで行ったと 一度きいたことが

ありますが それきりです

何しろ鳴かないのですから 居所が分かり難いものです

夕焼け  

今日はなんだか朱くてそして遠い

ひぐらしも聴こえない

代わりに鈴の音色(鈴虫)

 

つま先で何かを踏んだ

「カシャ」と微かなかすれた叫び

仰向けになって死んでいる蝉だった

 

気が付くと あの樹の下 草むらの中と蝉が死んでいた

                 しかも たくさん

                       

                   夏はもう終わってしまった のです                     

 

信じてみよう 

信じてみる

自身をもて といつも思うけど


そんなにうまいこといかない

 

やりたいことがあっても やれること

なりたいものがあっても なれるもの


分かってきた今 なんになる?


いつも何かを求めてる

心に何かが溢れだす


魂こめて

 

神よ いるならこんなオレでも受け入れてくれる場所

本当 与えてくれ

                

夏草が流れてく 風に吹かれまるで一片の緑海


ナナメ 左右 また右 左と

自由な風の思うままに 気持ちよさそうにそよいでいるように見えるが

自分達の力では どうにもならなくて 諦めて

風に身を委ねているようにも見える


するとラクだろうか


自分はなんにも逆らわず 流れるままに

皆と同じ方向を向けば

きっと ラクだ

余計な悩みも出てこない


夏草が風に吹かれ自分も風に吹かれ

髪も服も視線の先も

君達 ただの草と同じように 吹かれている


地球を取り巻くこの大きな風にしてみれば

私もただの草と同じ存在

地球上に住む生き物


なら 難しく考えることはないか

時には逆らわず

何も考えず

風に身を任せ 

ゆっくり歩いてみようか


人生はきっと 長いのだから